生ビールと瓶ビール
写真集はあんまりたくさん購入するほうではありません。箱庭のような我が家、という物理的なスペースの問題はもちろんありますが(笑)、自分自身は写真集よりプリントで、目の前で鑑賞するのが好きみたいです。
なんとなく、プリントが生ビールとすると、写真集は瓶ビール・・・いやめっちゃわかりにくい例えだと思いますが、ビンテージだとしてもオリジナルプリントがもつ独特のみずみずしさに対して、写真集はすこし熟成された、もしくは練り込まれた何かを感じます。
どちらがいい、悪いではなくて、私は生ビールが好きだ、という話なんだと思います(笑)
毒のある、しかし美しい一冊
さて、そんな私でも何度も繰り返しみてしまう写真集が何冊かありますが、その一冊が、2013年に刊行された大橋愛氏の写真集「piece」です。
死、破壊、異形、そして再生・・日常の中でおきるこれらの出来事の末に残った”欠片”を集めたような写真集だと思います。ページをめくっていくと、たまに目を背けたくなるようなページが出てくることもありますが目が離せない。そして繰り返し見てしまう。そして美しい。
以前、日本写真学院のフォトパブリッシング講座(いまは写真集作ろう!みたいなすこしカジュアルな名称で、市ヶ谷の写真ラボ”カロタイプ”で実施される講座になっておりますが、日本写真学院で始まった当初は、おいおいパブリッシングかよ・・とちょっと勇気のいる講座だったのですw)で三村漢さんとお話させて頂いたときに、写真集として編むには一種の毒や狂気を含む写真があるものが強い・・みたいなお話をしたことがあったのですが、そういう観点では私の手持ちの写真集ではもっともそれに合致する写真集です。
作者の大橋愛さんの公式HPはこちら
不思議なことに、このHPに掲載されている氏の他の作品群には、この”Piece”ほどの磁力は感じないのですが、このあたりは良く言葉にできない感覚があります。
大橋愛さんは、最近は展示のお知らせなども聞きませんし、公式HPのblogも更新がとまっているのですが、活動は継続されているんでしょうかね?