本日は前記事からの続きです。
ネット回線の上り(アップロード)が遅かったという事実(その1)
問題がおきている箇所に目星をつける
我が家のLANの大体の構成を図にしてみました。
色々とはしょってはいますが、マンションに引き込まれているNTT東日本の光回線網をまずマンション共有盤室内の集合型回線終端装置によって各住戸へ分岐します。自部屋にはブロードバンドルーター(ひかり電話対応)が設置してあり、ここから各部屋へのLANジャックに配線されています。光回線の契約タイプはフレッツ光ネクストのファミリータイプ(通信速度最大200Mbps)です。
現在、洋室1にはスイッチングハブを設置して、プリンタ、NAS、そして今回問題が起こっている”PC-A”を有線接続しています。前記事にも書いたとおり、この洋室1のPC-Aのアップロード速度のみが遅い、という状態です。そもそもこれだけ無線LANが発達している今なぜ有線のEthernet接続か・・といいますと、まずリビングに置いている無線ルータはそんなに新しいものではなく、IEEE802.11nまでしか対応していないものなので速度面では有線より劣る、ということと、何よりNAS、プリンタといった途中で通信が切れては困る機器との安定的な接続を目的としているからです。A3のアート紙に最高品質でプリントしている最中に無線LAN切れて、その紙と出力にかかった時間がパー・・となったら泣いてしまうので(笑)
一方、リビングには無線ブリッジルーターが設置してあり、問題がおこっているPCとは別のPCであるPC-B、またiPhoneの自宅でのブラウジング時などは無線接続させています。そしてこのルートでは、問題がおきている洋室1の有線接続PC-Aと状況が異なり、上りも下りも極端に差がなくある程度の速度でリンクして、問題がないことが分かりました。
PC-AもPC-Bも、その他Wi-Fi経由のiPhoneにおいても、最終的には同じ一本の光回線を利用していることになるのですが、問題が出ているのがPC-Aのアップロードのみ、ということなので、まず問題が起こっている箇所は洋室1のスイッチングハブ、もしくはPC-AのLANの設定もしくは周辺ハードウェアにある、ということは特定できます。
PC-AのNIC(ネットワークインターフェースカード)を調べる
まず、PC-Aが搭載しているNIC(ネットワークインターフェースカード・・有線のEthernetを接続するためのポートを備えたインターフェースカード)の素性を調べます。最近のPC、特にモバイル用の薄型ノートなどはNICを搭載しておらずWi-Fi子機のみ、というものも増えましたが、デスクトップや大型のノートPCには通常搭載されています。
調べ方の途中は端折りますが、”Killer E2500 Gigabit Ethernet Contoroller”であることがわかりました。
このNIC、QUALLCOMM(クアルコム)の子会社であるQUALCOM ATHEROSが販売しているゲーマー向けのネットワークインターフェースカード、ということでした。
問題が起こっているPC-AはノートPCであり(非自作PC)、採用しているマザーボードやパーツは自分自身で選定したものではなく、購入元のBTOメーカーが選定したものです。採用されているマザーボードがどうもMSI社のゲームPC向けタイプのようで、オンボードに搭載されているNICもゲーマー用に特化されているもののようなのです。
アプリ別にネットワークプロトコル優先度がコントロールされていた!
ゲーマー用のNICってなんぞや?とう事なんですが、ハードウェア自体は一般的なNICと大差ないように思います。ただ、KILLER、という名前の響きから、”そういえばPCの起動時にKILLER CONTOROL CENTER、とかいう謎のアプリが立ち上がっていたな??”とここで思い出します。アイキャッチ画像に掲載しているのがそれです。
で、このKILLER CONTOROL CENTERが何をやっているか、を調べました。
結果、アプリケーションごとにネットワークプロトコルの優先度を決める機能を主として実行していることが分かりました。バトルフィールドのようなリアルタイム戦術ゲームだと、戦闘中に例えばWindows updateとか、メール来ちゃった、とか、ゲーム以外の何かにネットワーク資源を割かれてしまった一瞬で命取りになることもあるので(知らんけど・・)とにかくゲーム以外のネットワークプロトコルの取り扱い優先度を下げてしまう機能が動作していたようです。ゲーマーにとってはゲームに不要なネットワークプロトコルを極端に下げてしまうことができるので有利な機能となるわけです。
KILLER CONTOROL CENTERの機能、Advanced Stream Detect機能をオフにしてみます。
Advanced Stream Detect機能の画面添付は割愛しますが、それはそれは詳細にここのアプリ単位に優先度その他を設定でき、これが必要な人が、事細かに設定してあげれば本当に重宝しそうではありますが、知らないうちに勝手に動かれていると問題にしかならない、という恐ろしい機能です(笑)
で、再度スピードテスト。
結果・・・
15.96Mbpsに増速しました!
KILLER CONTOROL CENTERの設定変更以前は187.56kbpsだったので、単純計算で約80倍性能が向上したことになります。
この時点でKILLER CONTROL CENTERは解雇決定です!(笑)ということで、問題となっていたPCからは即刻アンインストールとなりました。
でも、まだおかしい?
めでたく80倍に性能向上したアップロード速度。ためしに100MBぐらいのファイルをギガファイル便にアップロードしてみると10秒以内で終了しました!
これだ!!と問題解決・・・としても良かったんですが、おかしいのはまだ16MB弱しかスピードが出ていないところ。光回線はADSLのような非対称性の回線ではないので、NTTのフレッツ光ネクスト、ファミリータイプ契約の我が家では下りと同様100Mbps前後でないとおかしいのです。試しに、無線接続のPC-Bにてスピードテストしてみたところやっぱり60MB~80MB前後出ている・・・
ということで調査延長戦が決定し、その3に続きます。